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2022年7月21日

リアルテックホールディングス、革新的な半導体技術を開発するナノブリッジ・セミコンダクターへの出資を実施

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新規出資のお知らせ | ナノブリッジ・セミコンダクター株式会社 | NBS  | Iot機器の消費電力を1/10に低減する国際半導体技術

 何気なく使っているスマホやスマートデバイスの普及で通信量は過去7年で50倍に増え、このまま通信量が増え続けると、2030年には日本の全発電容量を通信に当てても足りないくらい、多くの電力が必要になります。(国立研究開発法人科学技術振興機構「情報化社会の進展がエネルギー消費に与える影響 Vol.1」/ 2019年3月)

 そうならないよう、通信を行わないデバイスでのエッジ処理が必要となっていますが、演算能力と電力効率性を両立という点でFPGAチップへの期待が高まっています。

 しかし、FPGAには堅牢性で課題が残っており、本来のポテンシャルを発揮しきれずにいます。このFPGAの課題を解消し現行のものから大きく進化させるのがナノブリッジ素子です。

 ナノブリッジは20年以上の研究開発による100以上の特許に支えられた日本オリジナルの半導体技術です。電圧でオン・オフを操作する10nmほどの固体電解質を活用した金属スイッチで、放射線、熱、振動などへの耐性が高い素子です。また金属架橋は電源を切っても残るので、間欠動作が可能となりエネルギー消費を大きく抑えられます。このようにして、従来のFPGAにあった堅牢性の課題を解消しながら、効率性を大きく高める仕組みを実現しています。

 最初の製品となる衛星向けFPGAはJAXAによる宇宙での実証も済み、量産体制も構築され販売間近です。今後はより微細なプロセスへの実装を進め、自動車やIoTデバイスへの実装を進めていきます。

 増え続ける演算や通信によるエネルギー消費の大幅低減を実現すべく、リアルテックホールディングス株式会社(所在地:東京都墨田区、代表:丸幸弘、永田 暁彦)が運営するリアルテックファンド*は、電子機器の放射線耐性向上や消費電力削減に有用な半導体技術を開発する、ナノブリッジ・セミコンダクター株式会社(本社:東京都渋谷区、代表:、以下「NBS」)へ投資を実施したことをお知らせ致します。NBSは今回の調達資金をもとに、顧客がナノブリッジFPGAの設計を行うためのソフトウェアの開発に取り組みます。

■企業概要

 NBSは、NECより知財を引き受け2019年にスピンオフしたスタートアップです。コアとなるナノブリッジという技術は、固体電解質中の金属原子の析出・溶解を印加電圧により制御し、LSI( 大規模集積回路)の配線間にナノメートルサイズの金属架橋(ブリッジ)を生成・消滅してスイッチのオン・オフ状態を実現する。繰り返し回路の書き換えが可能で、オン・オフ状態の維持に電力が不要(不揮発性)のため、低消費電力かつ高い放射線耐性と温度耐性を有しており、製造後に回路の再構成が可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)やメモリに最適な技術として注目されています。さらに、ナノブリッジの三次元化によって、微細化の行き詰まりを打開するための技術としても期待されています。

■資金調達の目的と使途

 ナノブリッジFPGAの2023年度における事業化に向けた設計ツールの開発

■担当者コメント

ナノブリッジセミコンダクター社は積年の努力と熱意による素晴らしい技術を保有していますが、米国勢が寡占しているFPGA市場に真っ向から勝負するのはとてつもないチャレンジです。

こんなつらい道を歩むベンチャーなんか始めないで大企業に残って静かに安寧に過ごす道も目の前にあったのに、そうはしなかった。

その熱意への投資だと思っています。原子サイズの金属架橋スイッチというイノベーションを実装すべく、宇宙向けFPGAという第一歩を共に歩めることを嬉しく思います。

(リアルテックホールディングス株式会社 グロースマネージャー 村山 類 クリスチャン)

*正式名称:「リアルテックファンド3号投資事業有限責任組合(通称:「グローカルディープテックファンド」)

各社概要

■ナノブリッジ・セミコンダクター株式会社について

  • 設立年月:2019年9月17日
  • 所在地:茨城県つくば市千現2-1-6
  • 代表者:代表取締役 杉林直彦
  • 資本金:1億円
  • 事業内容:ナノブリッジ素子を活用した半導体の設計・開発
  • 公式サイト:https://nanobridgesemi.com/
  • 出資時期:2022年7月

■リアルテックファンドについて

地球や人類の課題解決に資する革新的テクノロジーを有するスタートアップ(リアルテックベンチャー)への投資育成を行うベンチャーキャピタルファンドです。国内外の政府・企業・自治体と密に連携し、技術の社会実装を最速・最大化させるためにフルハンズオンで支援を行っています。これまで200億円以上を運用し、国内外のスタートアップ70社以上に投資しています。 2021年にはディープテック領域に投資するファンドとしては日本で初めてのインパクト投資ファンドを設立。2022年にはシンガポール法人を立ち上げ、世界の課題解決を目的とした事業連携を進めています。

■リアルテックホールディングスについて

地球や人類の課題解決に資する革新的テクノロジー(リアルテック)の社会実装を目指して創設された、株式会社ユーグレナと株式会社リバネスの合弁企業です。研究開発型スタートアップとして幾多の困難を乗り越えてきたユーグレナと、研究から技術の社会実装への包括的な支援を行うリバネスの知見を活かし、投資育成などの事業を行っています。

HP: https://www.realtech.holdings

<お問い合わせ先>

リアルテックホールディングス株式会社

広報担当:成田 

https://www.realtech.holdings/contact

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