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2022年1月5日

「次世代のために道を切り開きたい」 リアルテックホールディングス・グロースマネージャー 村山類クリスチャン入社インタビュー

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村山 類 クリスチャン | Louis Christian Murayama

 2021年11月、リアルテックホールディングス株式会社(以下、「リアルテック」)に入社し、グロース・マネージャーとして活躍する村山 類 クリスチャンに、入社に至る経緯や今後のビジョンについて聞きました。

今のお仕事内容やリアルテックでの役割を教えてください。

1つは投資先の事業開発やバリューアップで、もう1つは案件発掘と投資検討です。コンサルタントとして様々な業種のクライアントのグローバル展開と企業価値向上に携わってきましたので、その知見を活かして多種多様なスタートアップをサポートしていきたいです。

リアルテックに入社した理由と経緯を教えてください。

元々、新しい技術を活用して世の中を良くしたい気持ちがあり、実は2年ほど前、コンサルティング会社にいた時に一度リアルテックへの転職を考えました。その時は転職に至らなかったのですが、またご縁があり話を聞いたところ、私自身に娘が生まれたことで環境問題に対する意識が以前に増して高まっている中、リアルテックもインパクト評価を導入するとの事で経済的リターンだけでは満足しない姿勢に、自分が成したい事と合致したのが大きいです。

加えて、当時は日本に閉じていたリアルテックの活動がグローバルファンドの組成で世界に広がっていた事が、私自身が海外で培ってきた経験が活きる点で魅力的でした。

ドイツに生まれ、ヨーロッパで研究者としてのキャリアをスタートされたのち、日本ではコンサルティング会社やスタートアップでの経験をされていますね。大変興味深いキャリアを重ねていますが、今の仕事へ繋がる一貫した興味はあるのでしょうか。

【画像】ポーランドでの研究者時代、実験中の村山
ポーランドでの研究者時代、実験中の村山

幼少期から科学やテクノロジーに興味があり、特にヒトゲノム計画に影響を受け「遺伝子から生命が形成される」という現象に魅力を感じていましたし、その謎を解きたいと思いました。特に当時はゲノム解析に大いなる期待がされていた事もあり、ドイツの大学でゲノムが解析され組み換え手法も確立されたヒメツリガネゴケという苔を軸に生物学を学んだ後、ポーランドの大学で研究を続けました。苔は非常にタフなので、そのタフさの秘密を解明して、作物のストレス耐性を強化して寒くなってもダメにならないようにするとか、別の観点ですが、苔は生物学的にはヒトに十分近いことから、苔に人の遺伝子を入れて遺伝子欠損で病気になってしまう人の蛋白を生成して患者に与えることで病気の症状を軽減する、といった応用寄りの研究をしていました。

そうした研究には大きな意義があると思いますが、それだけで世の中は良くなりません。植物に関していうと作物の遺伝子組み換えの法規制が厳しく、それらをクリアして上市するのに100億円ものお金がかかると聞いて、研究結果が世に出る可能性が非常に低いことに気づきました。私は技術を社会に役立てる仕事をしたいと思っていましたし、そのためにはビジネスを始めとした社会の理解も必要だと感じて、コンサルティング業界に飛び込みました。リアルテックでは技術の事業化をより直接的に支援できると感じています。

これまでのキャリアではできなかったけれど、リアルテックでならできそうな事はありますか?

【画像】コンサルタント時代、デューデリジェンスをする村山
コンサルタント時代、デューデリジェンスをする村山

テクノロジーで世の中を良くしたいという思いで大きく3つのキャリアを経験したのですが、それぞれに課題を感じていました。

研究者として新しい発見や発明はできますが、それらを事業に昇華させるような仕組みや人材がいない。スタートアップは技術の事業化は出来ますが、それを社会に浸透させるにはリソースが足りないことが多く、多くの支援を必要とします。コンサルティングのクライアントは潤沢なリソースがあるのですが、対象が成熟した事業に限られてしまい直接的に新しいものを生み出すことは少ない。

その点、リアルテックはこれらの課題を解消する理想的な環境とバックグラウンドを有していると思います。リバネスグループと、数少ない日本で成功したディープテックベンチャーのユーグレナのDNA。ディープテックで事業を興すことの難しさを経験した人たちがいるからこそできる事があると思っています。

具体的にできるようになったと既に実感している事はありますか。

入社前にやりたいと思っていたことが次々に実現できています。起業を考えている科学者にアドバイスをして事業化を促す、投資先の経営陣と一緒に戦略を考えて事業計画にフィードバックする、事業会社とスタートアップを引き合わせてイノベーションを推進する、といった事がこの短期間で全て行えていますし、手応えも感じています。

こうした取り組みを入社してすぐに、多くの裁量を持ってやらせてもらっているのは有難い事ですし、個人を信じて任せる社風は良い意味でサプライズでした。お陰で、今まで実現したかった仕事のスタイルに近づけている実感がありますし、自分の思いや哲学をより表現しやすい環境にいる喜びがあります。

確かにリアルテックは、幅広い裁量を喜びと感じられる人には最高の環境ですね。好奇心も旺盛なのかと思いますが、特に関心がある分野があれば教えて下さい。社会課題についてはいかがですか?

先ほども少し触れましたが、子供が産まれた事もあり環境問題への意識が高まっています。今後10年、20年と深刻さを増していく温暖化問題や環境汚染に対して、子供のために何か具体的な手を打たなければという思いがあります。そうした課題に対してポジティブなインパクトがある技術を優先的に支援していきたい気持ちはあります。

そうすると、技術分野の関心としてはエネルギーでしょうか。

もちろん核融合などエネルギーど真ん中の技術にも関心はありますが、例えばバイオプラスチックやエネルギー効率の良い新素材、省電力の半導体チップなど、環境問題の改善にも様々なアプローチがあります。幾つものピースが組み合わさる事で少しずつ解決できる事もあると思いますし、そうした観点で幅広い技術に触れていきたいですね。

ピースの組み合わせという意味で言うと、全体最適を目指す必要性がある中で、企業間の連携も重要になってきますね。

多種多様な業態や産業が連携してコレクティブインパクトを起こしていく必要はありますね。資金面での支援をする投資家の立場だからこそ、間に入って産学官連携の支援もしやすいと思いますし、投資や事業開発だけではなく、法整備やロビー活動を含めた様々な環境整備にも積極的に関わり、あらゆる方向から取り組みたいですね。

実際、リアルテックのグロース・マネージャー達はそうした動きもしていると思いますが、他のメンバーがやっていないようなご自身の動き方のイメージはありますか。

これまでドイツ、ポーランド、フィンランド、オーストリア、日本と渡り歩き、職種も研究者、コンサルタント、そして今は投資家を経験させてもらっています。このフットワークの軽さと柔軟性を活かして、リアルテックの活動をグローバルに展開していきたいですね。日本の市場で戦えるようになったスタートアップを早い段階で海外進出させていくとか、グローバル市場を見据えて支援していくのは自分の役割だと思っています。海外にも意識を向けながら、いつも日本に良い刺激を与えられるような存在になれたらなと。

一方で、組織の中でも1人でできる事には限界があると思いますし、チームの協力が無ければ実現できない事もありますよね。

社会課題や技術のカテゴリーは広いので1人でカバーしきれない事実もありますが、それ以上に、1人でやると価値観が偏ってしまう事に問題があると思います。リアルテックの定義である「地球や人類の課題に資する技術」かどうかは、様々な価値観を持った多様なメンバー同士が議論しながら、公平な観点で判断していくべきだと思います。技術とは常に諸刃の剣だと思いますし、恩恵もあればリスクもあります。どうしたらネガティブなインパクトを最小化しながらポジティブなインパクトを最大化できるか、サスティナブルな社会を実現できるか、良い意味でのガバナンスを効かせながら、一丸となって取り組んでいきたいです。

サスティナブルな社会という言葉がありましたが、村山さんにとってサスティナビリティとは何でしょうか?

村山 類 クリスチャン | Louis Christian Murayama

負債を積み上げない事だと思っています。二酸化炭素のような物質的なものであれ、ファイナンス的な意味であれ、何か生じたものがきちんと循環しているかどうか。未だにほとんどのものは資源を使い捨てるだけで、私達はまだどこか問題を棚上げして、未来に甘えている気がします。私も含めて、自分が消費したものが具体的にどのように循環すべきなのか、あまり想像できていないですよね。

これは、技術や仕組みだけで実現するというよりは、人の意識の変化や歩み寄りも大切かと思います。

例えば、日々の生活習慣も負荷の少ないように変えていくとか、自分自身がサスティナブルな生活を体現して、生き方や態度の部分から課題解決をしていくという事も意識したいと思います。言うは易く行うは難しですが、少なくとも自分の子供にはそういうトライしている姿を見せたいです。

お子さんや次世代へ繋ぎたいという想いを強く感じますね。

繋ぎたいというより、邪魔したくないという気持ちが強いですね。今の10代くらいの世代は凄く環境問題に対する意識も高いですし、我々の世代とは切迫感が違う。彼らが社会に出た時に色々な手段や選択肢を用意したいですし、我々が積み上げた様々な負債が邪魔にならないように道を切り開いてあげたいという気持ちですね。私たちの世代が直接何かしてあげるというより、次の世代が希望を持って明るい理想を表現できる環境を作りたいですし、耳を傾けていきたいと思います。

なるほど、これまでのお話で村山さんの考えがよく理解できました。

最後に、スタートアップやVCで働く事にハードルの高さを感じている方もいるかもしれませんが、転職を考えていたり興味を持ってくれている方に向けて、実際に転職してきた村山さんからメッセージをお願いします。

まず、スタートアップに関しては採用が難しくどこも人が足りていないという事は知って欲しい。特に歯がゆいのが、事業の成長のボトルネックになっている「足りていない人」が、一般企業ではむしろ余るくらいの「普通の人」である場合が多い事。人材の流動性が低すぎて、転職市場が機能していない。

特にリアルテックの投資先であるディープテック系スタートアップは研究者出身が多いため、どうしてもビジネスの「当たり前」を知らずにやっていることが多いので、一般企業の方が特別と感じていない仕事の経験が実は凄く活きます。事業部の開発や営業もそうですし、コーポレートの経理や人事など、どんな職種の方でも活躍の場があります。

勿論リスクや不安もあると思いますが、今後の不確実な世の中でスタートアップの経験は確実に資産になると思っています。リスクマネーも増えてきたことで報酬面での待遇も上がってきていて、以前のように給与を下げての一世一代の博打ではなくなってきているので、興味がある人は積極的に検討してほしいです。

VCでは「多様性が足りていない」と感じています。VCの真髄は逆説的である事だと思っています。人とは違う事をやらないと失敗する。それを実現するためには、様々な視点と経験でアイディアを評価すべきなのに、多様性がない事は致命的です。

なので興味を持っているが「私にはVCは無理だ」と思っているあなたにこそ、手を上げてほしい。「無理だ」という感覚はきっと今いる社員の経歴にマッチしていないからそう感じているのでしょうが、だからこそ価値があります。

我々は可能性に賭けるのが本業なので、ご自身を経験不足だと感じていても、リアルテックのビジョンに共感頂けているなら、ぜひリーチアウトしてほしいと思います。

私自身、これまで色々と回り道をして今ここに辿り着いたわけですが、もっと早く自分の気持ちに正直なれていたらな、とも思います。

私の場合は、技術で社会を良くしたいという気持ちはずっとあったのに、一度は躊躇してしまいました。不安やリスクがあったとしても、自分が何か「しっくり来る」ような感覚があれば、そちらに進んでみる事もお勧めしたいです。私はその方向性に進んだ結果、ずっとやりたかった事がこれから色々できそうな手応えを感じています。

ありがとうございました。

これから、次世代のための道を一緒に切り開いていきましょう。

<略歴>

村山 類 クリスチャン

リアルテックファンド グロース・マネージャー

ドイツのフライブルク大学生物学修士課程修了後、マリーキュリーフェローとしてポーランドはクラクフのヤギェウォ大学にて3年研究職に従事。2017年よりボストンコンサルティンググループ東京オフィスにて上場企業の株主価値最大化や、M&AにおけるビジネスデューディリジェンスやPMIのプロジェクトを推進し、米独星の現地海外案件も経験。株式会社ACESにてBizDevとして深層学習を用いた新規事業開発を担当した後に2021年にリアルテックホールディングスに参画。リアルテックホールディングスでは投資先の事業開発を中心としたグロース支援を行う。

村山 類 クリスチャン | Louis Christian Murayama

 リアルテックのビジョンに共感し、募集ポジションにご関心ある方からの応募をお待ちしております。また、リアルテックファンド投資先のスタートアップで働くことに関心ある方もお気軽にお問い合わせください。

▶募集ポジションの詳細はこちら: https://www.realtech.holdings/recruit

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