2020.06.23

大阪から世界へ、

地域から社会課題の解決を目指す池田泉州銀行の挑戦

「大阪地域のさらなる飛躍へー」

 

商いの街 大阪は、2025年の大阪万博をきっかけとした国際化・新産業集積によりさらなる飛躍の時を迎えようとしている。その一端を担うのが、今年で合併10周年を迎える池田泉州銀行だ。池田泉州銀行は創業以来数多くの技術シーズを支援し、地域産業の活性化に繋げてきた歩みを持つ。今新たな時代を迎えようとする大阪から社会課題解決を目指す池田泉州銀行が、グローカルディープテックファンド参画に寄せる期待とは。池田泉州銀行の衛藤氏に、想いを伺った。

『2025年大阪・関西万博を含め地域が大きく飛躍』

最初に、池田泉州銀行様の会社概要についてご説明いただけますでしょうか。

池田泉州銀行は、規模で言うと全国地域金融機関の中では20番前後に位置する銀行です。預金額は5兆円、貸出額は4兆円程度で、主に阪神間を中心に店舗を展開しています。「幅広いご縁と進取の精神」をモットーに、地域に愛される銀行を目指すことを経営理念としています。

また、本年5月に池田銀行と泉州銀行が合併して10周年を迎え、先日『Vision’25』というコンセプトをリリースさせて頂きました。2025年に地元大阪で開催される大阪・関西万博や、SDGsを含めた今後10年間のロードマップを見据えた上で、池田泉州銀行の2025年までの将来あるべき姿を示すビジョンとなっています。
 

池田泉州銀行 『Vision’25』

(出典:池田泉州銀行 2019年度決算説明資料)

『15年以上前から続けている助成金事業、これがスタートアップ支援の先駆けだった』

池田泉州銀行様の地方創生に関するこれまでの歩みについてお話頂けますか?

私たちの地方創生支援の取り組みは2000年にスタートしました。当時は地元企業の工場の海外移転と東京への一極集中という二重の空洞化が地域の中に生じていた時期でした。この二重の空洞化に対するアプローチとして、新産業創出を手がけたことが私たちの地方創生の取り組みの第一歩になりました。

その後、2003年に助成金支援制度をスタート、2004年には自社キャピタルでスタートアップ企業向けのファンドを組成し、これまで約429社(者)のスタートアップ企業等に助成金支援をさせて頂いてきました。今では様々な地域金融機関の皆様がそのようなスタートアップ向けのご支援をされている中で、私たちはちょうどその先駆けだったのではないかと思います。

 

また、池田市には産総研があったので、立地的にも産学連携を推進するモチベーションがありました。とはいえ、産学の横連携は十分とはまだまだ言えない状態です。その課題認識の中で、近年ではイノベーション推進協議会を結成させて頂きました。地域金融機関として新産業を創出する仕組みと研究機関を横に繋ぐ役割が果たせればと思っております。

『技術シーズの実装を加速させる支援の仕組みがないことへの歯がゆさ』

大阪という地域の特徴や、これまでの取り組みの中から感じた課題についてお話頂けますか?

大阪は新たな事業を生み出す力のある大学を複数有しており、大学発のスタートアップ企業数は東京に次ぐ第2位という実績があります。関西には理工系学部を設置する36の大学があることもスタートアップ企業創出につながっています。

 

しかしながら京大・阪大では産官学連携の事業創造モデル、資金調達のモデルが浸透しつつある一方で、それ以外の大学の皆様は苦労されているのが現状です。

また、研究者の方がご退官された後に事業化するというケースもありますので、本来ならばもっと早いタイミングで事業化を目指すということがあってもいいと思っていますが、それを可能にするご支援の仕組みがこちら側にないことに歯がゆさを感じています。

 

今後、地元大学に存在する技術をいかにして社会に実装できる形に成長させていくかは大きな課題です。これまでの助成金支援だけでは対応できなかった部分をカバーして頂くという点でも、リバネスさんのテックプランターやリアルテックファンドさんのご支援のノウハウとの連携はひとつの鍵になると感じます。

『大企業との連携よりも、中小企業とのクイックな試作量産を可能にする連携を』

東大阪などの地域は町工場のイメージがありますが、大阪のものづくり産業についてお聞かせ頂けますか?

東大阪は全国でもトップクラスの工場数を誇るものづくりの都市です。とはいえ、大量生産を行える完成品を取り扱う企業は少なく、むしろ尖った技術を有する企業がほとんどです。課題は、そのような企業の持つ力をいかにして次世代に繋いでいくかだと考えています。

 

また、中小企業には大企業と比べて決裁フローが早いという側面があります。私たちはこの利点を生かし、中小企業とのスピード重視の試作量産が可能になるような仕組みを作っていきたいと思っています。

しかし、この仕組みに対するスタートアップ側からのニーズは強い反面、中小企業側のモチベーションはそこまで高くありません。このギャップを解消できるインセンティブ設計なども考えていかなくてはなりませんね。

今後リアルテックファンドさんと、新たに中小企業向けのマインドセット変革の枠組みなども作っていけると嬉しいです。

池田泉州銀行 CS本部 イノベーション推進グループ参事役 衛藤様

『新たな事業支援を提供できる人材の創出に期待』

今回グローカルディープテックファンドにご参画された経緯についてお伺いしてもよろしいでしょうか?

ファンド参画の入り口となったのはリバネスさんの取り組みである大阪テックプランターでした。その後、地方銀行協会の講演で出雲さん、永田さん、丸さんの三代表のお話を聞く機会があり、「自分達がやりたかったのはまさにこれだ!」と改めて実感しました。社内でも自分たちが目指す方向性と合致していたことから、ファンド参画への決議もスムーズに進めることができました。

 

リバネスさんのテックプランターの取り組みは地域金融機関としても目指していくべきところだと感じていますし、国内だけでなく東南アジアのネットワークを保有されている点も強みですね。

リアルテックファンドに期待することや、共に実現したい取り組みについて教えてください

現在私達が行っている助成金支援に加えて、リバネスさんのテックプランターとリアルテックファンドさんを結びつけた取り組みの実施を行いたいと思っています。

これまでリーチできていなかった技術シーズの発掘、および技術の事業化はリアルテックファンドさんだからこその強みが生かされると感じていますし、その中で私たちのこれまでの取り組みもリンクさせていきたいと考えています。

 

また、リアルテックファンドさんに出向させて頂いて人材育成の面でお手伝いをしていただきたいと思っています。今後私たちが取り組む技術の社会実装や、産学連携の推進には、自社に知見のある人材を育成することでより成功確度をあげることにつながると考えています。様々な地方とのコネクションを持ち、技術知見の高いリアルテックファンドさんとだからこそ、私たちが目指す事業支援体制を共創できると期待しています。

地域金融機関として今後目指す姿をお伺いしても宜しいでしょうか。

私たちは地域の各機関の機能を統合させて地域課題の解決に繋げること、情報ハブになることが地域金融機関の持つ重要な役割だと思っています。

現在その一歩として、起業家が気軽に集まって情報交換できるようなインキュベーション拠点の必要性を検討しています。

また、スタートアップの支援を地域商社のような枠組みを使ってできるようにしていきたいとも考えています。

起業家との距離感を縮め、より深いニーズを肌で知ることは課題解決へ重要な鍵になります。お客様のニーズを取り入れつつ、その地域にあった様々なご支援を提供することで地域の活性化に繋げていきたいです。

大阪のみならず、各地域には社会の課題解決に資する技術シーズが未だ数多く眠っているが、地域の社会課題解決までたどり着く例は少ない。

この課題に対し池田泉州銀行が見出した答えは、技術の本質的価値を理解し企業に寄り添い支援する人材の育成だった。

だが、地域金融機関に技術理解のできる人材まで果たして必要なのか、社内ではそうした議論もあったと聞く。

しかし今回、より地域に寄り添う事業支援を実現する人材創出への期待を込めて、リアルテックファンドへの参画を決断した。

地域金融機関のこの挑戦は未来の世界を変える力になる。

リアルテックファンドは新たな仲間とともに、地球と人類の課題解決に向けて新たな一歩を踏み出していく。

池田泉州銀行

CS本部 イノベーション推進グループ参事役

衛藤 章司(えとう しょうじ)

 

1996年株式会社泉州銀行(現:池田泉州銀行)入行、支店・本部にて法人関連業務に従事。株式会社企業再生支援機構(現:地域経済活性化支援機構)への業務出向、M&Aアドバイザリー室長(初代)、東大阪中央支店長等を経て、2019年4月よりCS本部にて産学官連携やスタートアップ支援に取組むイノベーション推進グループを統括。

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