2021.04.30

リアルテックグローバルファンドにマルハニチロが参画

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(写真右)マルハニチロ株式会社 常務執行役員 渡辺 毅氏

(写真左)リアルテックホールディングス株式会社 代表取締役 丸 幸弘

 リアルテックホールディングス株式会社(本社:東京都墨田区、代表:丸幸弘、永田暁彦)が運営する「リアルテックグローバルファンド」(正式名称:「リアルテックグローバルファンド1号投資事業組合」)は、新たな組合員として、マルハニチロ株式会社(本社所在地:東京都江東区、代表取締役社長:池見賢)が参画したことをお知らせ致します。

 リアルテックグローバルファンドでは、2020年7月より東南アジアのリアルテックベンチャーへの投資育成活動を実施しております。第一号投資先のShiok Meats社に代表されるように、東南アジアでは特にフードやサステナビリティ領域が注目されており、日本国内の事業会社と連携した課題解決を加速して目指しております。2020年で創業140年を迎えたマルハニチロ株式会社(以下:マルハニチロ)は、水産加工品や冷凍食品だけでなく、介護食から宇宙食に至るまで、多様な「食」のイノベーションを起こしてきました。また、タイやベトナムにおいては現地企業と連携した生産・加工体制を構築しており、日本のみならず「世界においしいしあわせを」届けることを目指しております。

 日本本社と東南アジア各社の抜本的な改革を目指すマルハニチロが、リアルテックグローバルファンドへの参画を通して、何を実現していきたいのか。マルハニチロ・常務執行役員の渡辺 毅氏に、弊社代表の丸が伺いました。

140年の歴史を持つ企業として、今、新たな化学反応を

 


実はマルハニチロさんとは、2008年からリバネスで教育プロジェクトをご一緒しておりました。当時からお堅い企業の印象が強く、まさかこうしてグローバルファンドで改めてご一緒にできるとは思っていなかったです。聞くに、140年の歴史で初めてのファンド出資ということで、色々な想いがあって今に至ると思っております。ぜひ、今回参画頂いた背景について教えてください。

 

渡辺氏
仰る通り、私たちは140年の長い歴史の中で一度もオープンイノベーション的な取り組みをしたことがなく、ほとんど自前主義を貫いてきました。長い年月をかけて確立されたビジネスモデルを根付かせてきた一方で、現在の事業部制は抜本的に新しいことを進めていくには難しい状況にあります。私たちが次の100年を戦う組織へと変革していく上で、イノベーションやチャレンジを当然意識しながらやる気のある若手もたくさんいるのですが、なかなか力を発揮できる環境を作れていないもどかしさがありました。
そこに丸さんたちが現れたのです。科学者・研究者ではあるけれど、起業家精神が旺盛で色々なプロジェクトを幅広い企業様とやられている。まさにマルハニチロに変革を起こしていくためには、こういう集団と一緒に「化学反応」を生み出す必要がある、そう強く感じたのです。



出会ったときから意気投合でしたよね。「ファンド」を運営していると、当たり前ですが配当とか利回りについて聞かれることが多く。でもお会いしてから渡辺さんは、一言もそこに触れないですよね。一番の目的に人と人との化学反応があるからこそ、結果として新しい事業が生まれ、永続的な成長に繋がっていく。ここが合致していたからこそ、アジアを主戦場に色々な種まきができると確信しています。
 

渡辺氏
まさに社内でも「ファンド投資ありきではない」というのは口酸っぱく伝えており、「丸さんたちと一緒に化学反応を起こすんだ」と強く訴えてきました。社外の方々と協働しながら、色々なレイヤーでコラボレーションを生み出す。我々が感じていたモヤモヤを一緒に晴らしていくパートナーとしてリバネス・リアルテックさんと組むことが、一番の大切なメッセージなのだと感じています。

経済的ではない戦略的なリターンに期待したい。そのために我々も一緒に汗をかく。我々が実現するのは、まさにそのようなパートナーシップではないかと思います。

 

東南アジアの「熱」を取り込み、技術の社会実装を加速

 


熱い!もちろん国内でも色々な取り組みができるとは思いますが、まずは東南アジアですね。
マルハニチロはタイやベトナムを中心に積極的に海外事業を展開しているかと思います。昨年までアジア・オセアニアユニット長を勤めていらした渡辺さんは、今の東南アジアをどのように見ているのでしょうか?

 

渡辺氏
タイ・ベトナムのグループ会社は、主に水産加工や冷凍、レトルトの技術を持っています。特にタイでは、生エビを年間1万トン以上集荷・加工して、うち4割を日本向けに輸出しており、他にもアジを加工したアジフライや竜田揚げに加工される小型マグロを凍結するなど、様々に加工した冷凍水産物を日本へ輸出しています。

成長が著しく事業環境としても最適な東南アジア市場は絶対に外せませんが、現状はさまざまな角度から成長戦略をまだ探っているところです。色々と考えているのですが、各製造拠点を「製造のハブ」としてゼロベースでいったん見直し、最適な生産体制を目指して再構築していくのが良いのではないかと考えています。私としては、ここに東南アジアのフードテックベンチャーとの連携可能性を見込んでいるのです。
 


東南アジアに製造拠点があるのは大きなメリットですね。リアルテックベンチャーは常に、商品開発や研究・事業連携を一緒にできるパートナーを探していますが、拠点があることによってその動きが加速します。例えば、シンガポールを中心に事業を展開しているShiok Meats社に、マルハニチロのタイ工場の一部を貸して、従来品と平行して次世代エビの製造も行えたら、ベンチャーにとってはこの上ない連携です。早い段階から成長支援していくからこそ、大きくなったタイミングでより深く一緒に仕事ができる関係が構築されていくのです。

僕が創業から支援してきたユーグレナ社も、元々クロレラが製造されていた工場のスペースを間借りして、製造していました。こうしたエコシステムを東南アジア全域に作っていきたいです。
 

渡辺氏
確かに工場のスペースを貸し出していくのは面白いですね。
弊社の大規模工場を上手く活用し、1万人以上の仲間と連携しながら東南アジアのリアルテックベンチャーとの化学反応を起こしていけたら素晴らしいですね。

 


エビ以外にも、例えばジャックフルーツや赤マイ、コオロギなど独自の原料や技術を用いたフードテックベンチャーに活用してもらうのも面白いと思います。既存食品に無味無臭のジャックフルーツを入れることで新しい食感を表現したり、コオロギのプロテインを混ぜた高タンパクな新製品を開発するなど、幅広く構想できると思います。

こうした新しい商品がどこにでも当たり前に流通する世界観が一番大事です。ベンチャーは生産技術と情熱は持っている一方で、それを社会に届ける冷凍技術や流通網は持っていない。この部分もまさにマルハニチロの価値として東南アジアのベンチャーに提供していくと面白い化学反応が生まれてくるんだと思っています。

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眠れる技術を掘り起こし、「正しく」儲け続けるモデルを

 

渡辺氏

東南アジアでの連携に加えて、もう一つ一緒にやっていきたいのが、マルハニチロの眠れる技術の開拓です。中央研究所が茨城県にあるのですが、140年の歴史の中で多くが開発されてきているものの、まだまだ実装・事業化できていない価値ある技術が眠っていると思います。

何と言っても140年ですから、相当面白い技術が眠っているでしょうね。そういった眠れる技術は自分達だけだとなかなか気づきにくい。周りが発掘して色々な角度から必要性を訴えて、初めて気づくのだと思います。一度見つかってしまえば、凄まじい勢いで実装化していく。そういった事例はいくつも見てきました。

渡辺氏

ここで問題になってくるのが、組織間の見えざる壁だと思っています。せっかく発掘してきたものが組織ロジックによって途中で止められてしまう可能性がある。

そう。だからこそ、我々のような「よそ者」の力をうまく使って頂ければと思います。内内で進めていくのではなく、やると決めたことに外部を巻き込んで、外部に発信して、社会に対してコミットメントしていく。そのコミットメントに巻き込まれて横串連携がどんどん加速していく。これを続けていくことによって新しいビジネスモデルが生み出されていくと思っています。

渡辺氏

ぜひ一緒にやっていきたいですね。これまでは自分達の武器を研いでいるだけでは何も進めることができませんでした。まずは行動を起こすこと、そのために外部を巻き込むこと。先が見えず、悶々としている人たちこそ巻き込んで、一緒にプロジェクトを創っていきましょう。

そのうえで私のポリシーでもある「きちんと正しく儲ける」ことを実現していきたいです。単に良いこと、ではなく持続的に儲けて社会に還元できるモデルを一緒に創っていきたいです。

武器は走りながら拾う。

この140年で創られてきた縦の基盤を活かして、リバネス・リアルテックと組むことで、これからの10年でたくさんの波風、化学反応を起こして行きましょう!

<対談者経歴>

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マルハニチロ株式会社

常務執行役員

渡辺 毅

 

東京大学法学部卒業。みずほ銀行専務執行役員を経てマルハニチロ株式会社へ。アジア・オセアニアユニット長として同地域におけるグループ関係会社の事業改善に取り組むと共に、海外投資案件などを担当、昨年度はベトナム投資案件を主導。今年度よりマルハニチロの成長戦略の中核を担う事業企画部管掌となり、グループの事業改善・再編およびオープンイノベーションシステムの社内実装や投資プロジェクトを統括。

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リアルテックホールディングス株式会社
代表取締役 
丸 幸弘 

 

東京大学大学院農学生命科学研究科応用生命工学専攻博士課程修了、博士(農学)。大学院在学中に理工系学生のみでリバネスを設立。大学・地域に眠る経営資源や技術を組み合せて新事業のタネを生み出す「知識製造業」を営み、世界の知を集めるインフラ「知識プラットフォーム」を通じて、200以上のプロジェクトを進行させる。ユーグレナなど多数のベンチャー企業の立ち上げにも携わるイノベーター。

■リアルテックファンドについて
リアルテックホールディングス株式会社が、自社ならびに子会社の合同会社リアルテックジャパンを通じて管理運営するベンチャーキャピタルファンド。地球や人類の課題解決に資する革新的テクノロジー(リアルテック)の社会実装に取り組んでいます。
HP: https://www.realtech.fund
正式名称 :リアルテックファンド1号投資事業有限責任組合(A)、リアルテックファンド2号投資事業有限責任組合(A)、リアルテックファンド3号投資事業有限責任組合(A)、リアルテックグローバルファンド1号投資事業組合(B)
無限責任組合員:(A)合同会社リアルテックジャパン
業務執行組合員:(B)リアルテックホールディングス株式会社

■ リアルテックホールディングスについて
リアルテックホールディングス株式会社は株式会社ユーグレナと株式会社リバネスの合弁企業です。私たちは、リアルテックの生みの親である研究者とその社会実装に命を懸ける起業家と共に、より良い未来を創造します。「リアルテック」とは、地球や人類の課題解決に資する研究開発型の革新的テクノロジーであり、世界を変えるのは、いつでもリアルテックであると信じています。
HP: https://www.realtech.holdings

■ お問い合わせ先
リアルテックホールディングス株式会社 広報担当:成田 contact@realtech.fund