リアルテックホールディングス、カイコ由来タンパク質を用いた経口ワクチンの開発を行うKAICO社への出資を実施

　リアルテックホールディングス株式会社（所在地：東京都墨田区、代表：丸幸弘、永田 暁彦）が運営するリアルテックファンド*は、九州大学発のバイオベンチャーであるKAICO株式会社（本社：福岡市西区、代表取締役：大和 建太、以下KAICO社）へ投資を実施したことをお知らせ致します。KAICO社は今回の調達資金をもとに、本年4月に特許出願した経口ワクチンの実用化を推進していきます。

■企業概要

KAICO社はカイコ‐バキュロウイルス発現系を利用したタンパク質発現技術をコアとする九州大学発ベンチャーです。カイコに目的タンパク質の遺伝子を挿入したバキュロウイルスを接種し、体内で目的タンパク質を発現させられるだけでなく、その体液から目的タンパク質を採取する技術を確立してきました。現在、技術汎用性の高さからプラットフォーマーとして受託発現、試薬、診断薬、ワクチン開発を幅広いターゲットに展開しています。

　ワクチン開発において従来の手法では、ウイルスやバクテリアの型が変化した際、臨床材料から分離し培養ののち生ワクチンを製造するという工程が発生するため多くの時間を要していました。しかしKAICO社が行うタンパク質発現技術では、目的となる遺伝子を特定することでタンパク質を発現できるため、開発製造時間を大幅に短縮でき、またカイコ頭数を増やすことで生産可能であるため、短期間で多品種のスケールアップを実現させます。
　加えて、培養液に混入させる血清を必要としないため原材料費を大幅に抑えることができ、安価に製造を行うことが可能になります。
　KAICO社はこれらのカイコ‐バキュロウイルス発現系が持つ特徴に加え、九州大学のカイコライブラリーを利用することで更なる高発現・高生産を実現させています。
　本年4月にKAICO社の開発生産したワクチン抗原タンパク質が、経口摂取によりワクチン効果があることが確認されました。 通常、ワクチン原料となるタンパク質は、口から摂取するとアミノ酸に分解されてしまうため、免疫の獲得は困難となります。しかし一部のカイコ由来のタンパク質においては、経口摂取でも注射と同じように免疫を持つことが確認されました。　
　経口ワクチンは、注射のための医療人材が不要であり、また常温管理も可能なため、環境に左右されず世界各地に届けることが可能になります。
　今後、この経口ワクチンの実用化を目指し開発を推進していきます。

■資金調達の目的と使途

KAICO社は、本年4月に特許出願した経口ワクチンの実用化を目指し、人用（新型コロナウイルス、ノロウイルスなど）、動物用として開発ターゲットを定め開発を進めています。今回の資金調達で得た資金により、これら経口ワクチンの実用化を推進していきます。

■担当者コメント

KAICO社のコアとなるタンパク質発現技術はカイコ‐バキュロウイルス発現系の特徴である低コストかつ、短期間で多品種のスケールアップが可能であることに加え、九州大学のカイコライブラリーを利用する事により、高い発現・生産能力を有しています。
　特に、研究開発を進める経口ワクチン事業は常温での輸送が可能であることに加え、摂取時に医療人材が不要なためパンデミックから世界を救うことが出来る技術であると確信しています。
世界の課題解決の為、リアルテックファンドは共に走ってまいります。
（リアルテックホールディングス株式会社 アソシエイト 岩元 颯オリビエ）
*正式名称：「リアルテックファンド3号投資事業有限責任組合（通称：「グローカルディープテックファンド」）

各社概要

■KAICO株式会社について

• 設立年月：2018年4月
• 所在地：福岡市西区九大新町４−１福岡市産学連携交流センター217
• 代表者：大和 建太
• 資本金：4550500万円
• 事業内容：
• タンパク質受託発現
• 試薬・診断薬・医薬品原料の製造・販売業
• 公式サイト：http://www.kaicoltd.jp/
• 出資時期：2021年12月

■リアルテックファンドについて

リアルテックホールディングス株式会社が、自社ならびに子会社の合同会社リアルテックジャパンを通じて管理運営するベンチャーキャピタルファンド。地球や人類の課題解決に資する革新的テクノロジー（リアルテック）の社会実装に取り組んでいます。

■リアルテックホールディングスについて

リアルテックホールディングス株式会社は株式会社ユーグレナと株式会社リバネスの合弁企業です。私たちは、リアルテックの生みの親である研究者とその社会実装に命を懸ける起業家と共に、より良い未来を創造します。「リアルテック」とは、地球や人類の課題解決に資する研究開発型の革新的テクノロジーであり、世界を変えるのは、いつでもリアルテックであると信じています。
HP： https://www.realtech.holdings

＜お問い合わせ先＞

リアルテックホールディングス株式会社
広報担当：成田　
https://www.realtech.holdings/contact